在宅勤務手当の一部が非課税に?気になる判断基準とは

これまでテレワークを導入する企業からは、社員が自ら支払った通信費のどこまでを業務上の利用として認めるか、在宅勤務手当を所得税の課税対象から外して良いのか等の声が上がっていました。

国税庁は1月15日、拡大する感染症対策として昨年の春以降から導入する企業が増えたテレワーク・リモートワーク・在宅勤務に関して、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公開しました。

今回はそんな在宅勤務時に発生する可能性がある手当について解説して行きます。

P&Cラボ

テレワークを導入するにはPCやネットワークの準備や、システムの導入、勤怠管理方法の変更など様々な面で設備投資が必要です。…

在宅勤務手当とは

在宅勤務手当とは、その名の通り在宅勤務をする従業員のための手当です。

主にインターネット環境整備のために掛かる費用やインターネット通信費、自宅で仕事をするためのデスクやチェアの購入など

テレワークを導入する際に掛かるPCやモニターなどの備品の購入費用などが在宅勤務手当となることが多いようです。

在宅勤務手当

前提として、企業が従業員に在宅勤務手当を支払った場合、費用の実費相当額を精算する方法により支給する一定の金銭については、給与として課税する必要はありません。

しかし、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの

(例えば、企業が従業員に 対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの))を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があります。

在宅勤務に係る事務用品等の支給

在宅勤務に必要な事務用品などは、貸与であれば、給与として課税する必要はありませんが、支給する場合は従業員に対する現物給与として課税する必要が出てきます。

例えば、企業が従業員に業務に使用する目的で事務用品などを「支給」という形で配付し、その配付を受けた事務用品等を従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却を要する場合も、「貸与」とみて大丈夫です。

業務使用部分の精算方法

在宅勤務手当 精算

前述の通り、在宅勤務に必要な費用を精算する方法をとれば、課税をする必要はありません。

事務用品の場合は、次のような精算方法が挙げられます。

①企業が従業員に対して仮払いした後、従業員が事務用品を購入し、その領収証などを企業に提出してその購入費用を精算する方法

企業に仮払された金額が購入費用を超過する場合に、従業員がその超過部分を企業に返還するという方法です。
②従業員が立替払いにより事務用品を購入した後、領収証などを企業に提出してその購入費用を精算する方法
従業員が事務用品などの購入費用を企業から受領するという方法です。

通信費にかかる業務使用部分の計算方法

電話料金

電話料金は、基本使用料と通話料で分けて考えます。

通話料金は通話明細書などにより、業務のための通話に掛かった料金を確認することができるため、その金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

基本使用料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

インターネット接続にかかる通信料

基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

例えば、次の算式により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

(参考:在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)通信費に係る業務使用部分の計算方法)

電気料金に係る業務使用部分の計算方法

従業員が負担した基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

例えば、次の算式により算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

(参考:在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)電気料金に係る業務使用部分の計算方法 )

レンタルオフィス

従業員が、勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合、

①従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、
②業務のために利用したものとして領収書等を企業に提出してその代金が精算されているもの

については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。
(企業が従業員に金銭を仮払いし、従業員がレンタルオフィス代等に係る領収証等を企業に提出し精算した場合も同じです。)

在宅勤務手当のメリット

これまでで、在宅勤務手当にまつわる課税対象のケースと非課税対象のケースを紹介いたしました。

一見計算方法が複雑だと感じやすい在宅勤務手当ですが、この手当を導入する事で企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

企業全体の経費の削減

オフィスへの出勤が無くなることで、企業は交通費にかかるコストを削減する事が出来ます。

また、支給を廃止した通勤手当を原資として在宅勤務手当を支払うことで、新たに在宅勤務手当を支払う為の費用を準備する必要はなくなります。

今後もテレワークを継続して行う企業の場合は、オフィススペースの縮小やオフィス維持にかかっていた光熱費の削減もできるようになります。

一般的に在宅勤務手当は交通費より少ないことが多いため、差額分が経費削減となります。

働き方改革の促進

在宅勤務手当が支給されるようになった背景には多様化する働き方が挙げられます。

在宅勤務手当を支給する事で、従業員それぞれの自宅での仕事環境が整備されるようになり、長期的な在宅勤務が可能になります。

長期的な在宅勤務が可能になることで、多様な働き方に対応できるようになり、その結果働き方改革が促進されるようになります。

多様な働き方を実現できるようになると、ライフワークバランスが充実し社員定着率が向上し、働き方改革を行っている先進的な働き方を取り入れているのは企業イメージの向上にも繋がります。

まとめ

感染症対策の一環として、在宅勤務を取り入れる企業が増えてきている今、従業員のパフォーマンスを落とさないためにも在宅勤務手当を支給し、自宅でも効率よく業務を進められるように仕事環境を整えることは、長期的な在宅勤務を行う際に重要とされています。

自社の事業内容や特性を考え、支給金額はいくらにするのか、どのような支給方法が最も適しているかを検討する必要があるでしょう。