リモートデスクトップに必要な通信速度の目安とは?

リモートデスクトップに必要な通信速度の目安とは?

リモートワークする際には、「リモートデスクトップ」を利用する方法が考えられます。リモートデスクトップは遠隔地から社内のコンピューターやサーバーにアクセスできる便利なシステムとして多くの企業で採用されていますが、通信速度が原因となって状況によってはスムーズに利用できないケースもあります。
そこで今回は、リモートデスクトップ利用時に推奨される通信速度の目安について解説します。リモートデスクトップならではのメリットもご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

リモートデスクトップとは?

リモートデスクトップの通信速度などを知る前に、そもそもリモートデスクトップはどのようなシステムなのか、という基本的な疑問を解消していきましょう。

社内のパソコンを離れた場所から操作する機能

リモートデスクトップとは、遠隔にあるパソコンを外部から操作する通信システムのことを指します。その場にいなくてもパソコンを動かせる点が特徴で、自宅から会社のパソコンにアクセスし、内部のデータやシステムをそのまま利用できるのです
社内のパソコンを丸ごと持ち出す必要がないため、昨今はリモートワークで使用されるケースが増えています。

リモートデスクトップを使用している割合は高い

新型コロナウイルスの影響によって、在宅勤務やリモートワークを推奨する企業が増えましたが、これと比例する形でリモートデスクトップを採用する企業も増加傾向にあります。

株式会社ソリトンシステムズが運営する企業ネットワークのための情報サイト「ネットアテスト」が行った「企業ネットワーク及び関連システムに関する調査」によると、「社内の業務PCを遠隔操作(リモートデスクトップ)」していると回答した企業は、52.1%と半数を超えています。
なお、「クラウドサービス上の業務システムを利用」は34.3%でした。
(参考:【調査データ】7種類のテレワーク方式の導入率|ネットアテスト

リモートワークでは今後もリモートデスクトップが使われる?

リモートデスクトップなら社内とほぼ同じ仕事環境でリモートワークが可能ですから、今後も導入する企業は増えていくことでしょう。
リモートデスクトップの活用によるリモートワーク体制を維持することで企業はオフィススペースや関連する運営コストを削減できますし、災害や緊急事態が発生した場合、リモートデスクトップは事業の継続性を保つ重要な役割を果たします。
事業をグローバルに展開する企業においては異なる地域やタイムゾーンで働く従業員間の協力を促進するために、リモートデスクトップソリューションが重要になるでしょう。

リモートデスクトップで求められる「通信速度」の目安

リモートデスクトップを利用する際はある程度の「通信速度」が求められます。リモートデスクトップ接続は、ユーザーのデバイスとリモートサーバーまたはコンピューター間でデータを頻繁に送受信するため、安定した高速インターネット接続が求められるのです。
以下では、リモートデスクトップで必要になる通信速度の目安を解説します。

作業内容によって必要な通信速度は変わる

まず前提として、リモートデスクトップで行う業務内容によって、必要とされる通信速度は変わります。通信速度とはつまり、データの送受信にかかるスピードのことであり、業務の内容によって必要速度が変わります。
そのため、同じ通信速度が出る環境で仕事をしていても、業務内容によって快適さに差が出る点に注意が必要です。

軽い作業なら500kbps程度でも可能

リモートデスクトップで軽い作業をする場合、500kbps程度あれば十分だといわれています。たとえば、ワードやエクセルといったソフトを使った作業の場合、500kbps程度でも十分リモートからの操作が可能だということです。特定の画面から切り替えることなく、そのまま作業を続けられるケースでも、通信速度はそれほど必要とされません。
逆に言えば、こまめに画面を切り替えたり、複数のソフトを立ち上げて並行作業をしたりする場合、500kbps程度の通信速度では遅延が生じる可能性があります。

負荷のかかる作業では5Mbps程度が必要になることも

リモートデスクトップでそれなりに負荷のかかる作業をするのなら、5Mbps程度の通信速度が目安になります。画面を切り替えながら行う作業や軽いグラフィック処理、複数ソフトを同時に起動する場合は5Mbps程度の速度が求められるでしょう
しかし、高度なグラフィックデザイン、動画編集、大規模なデータベース操作については5Mbpsでも不十分なことがあります
また、それほど大きなデータを扱う業務ではなくても、複数のユーザーが同じネットワーク経由でリモートデスクトップにアクセスする場合には通信に遅れが出る可能性があります。

<リモートデスクトップでも従業員の働きぶりまでは確認できません。リモートワークにおける勤怠・業務管理は『RemoLabo』にお任せください!>

リモートデスクトップで必要になる「通信量」の目安

リモートデスクトップを利用する際には「通信量」にも注意が必要です。自宅などで仕事をする場合、どの程度の通信量が必要なのかわからないと、回線プランによっては通信制限がかかる可能性があります。以下では、リモートデスクトップにおける通信量の目安を解説します。

1時間あたり200~500MB程度が目安

一般的にリモートデスクトップの通信量は、1時間あたり200~500MB程度が目安になります。実際の作業内容によって差が出ますが、リモートデスクトップを利用するなら200~500MB/1時間程度を目安に利用するとよいでしょう。従業員のリモート環境によっては、通信量の使いすぎによって通信速度に制限がかかる場合があります。
特に光などの固定回線を使っていない家庭の場合、リモートデスクトップによって速度制限がかかる可能性は高いです。事前に従業員のリモート環境を確認し、リモートデスクトップによる快適な作業が可能か判断するのもポイントです。

リモートデスクトップで使用される通信量はどんな作業で決まるのか?

リモートデスクトップの通信量は、その場で行われる行動(データの送受信)によって変動します。たとえば、デスクトップ画像の表示回数、キーボードやマウスなどの操作入力、メールの送受信、ネット検索などの行動が通信量に影響します。扱うデータの大きさにもよりますが、単純にこれらの利用回数が増えるほど、通信量も増加する形になります。

VPN接続の場合には通信量がわずかに増える

リモートワークする際には情報を暗号化して通信するVPN接続を利用するケースも多いです。VPNとは「Virtual Private Network」の略称で、仮想プライベート通信網という意味があります。インターネット上に仮想空間を設定して、そのなかで特定の人だけが使えるネットワーク環境を構築するのが特徴です。
データを暗号化することによりユーザーの通信内容が外部からの監視や傍受から保護され、公共のWi-Fiなどセキュリティが不確かな環境での使用に有効です。
しかし、VPNがデータを暗号化する際はヘッダ情報が付加されるため、結果として使用する通信量がわずかに増加する点は留意しておくべきでしょう

リモートデスクトップで仕事をするメリット

企業がリモートデスクトップを導入する場合、構築はネットワークの専門家による設定が推奨されます。セキュリティやスケーラビリティ、管理などの観点から、複雑な設定が必要になるからです。
そのため、初期費用や維持費がかかりますが、その分、次のような大きなメリットがあります。

セキュリティリスクが低い

セキュリティリスクが低い点はリモートデスクトップの大きなメリットです。直接社内のパソコンにアクセスしますから、端末の紛失や盗難といった物理的なセキュリティリスクを排除できます
また、先に紹介したVPN接続などを利用すれば、より安全性を高めてリモートワークできます。

簡単に仕事の環境を自宅に再現できる

各従業員の自宅に社内とほぼ変わらない仕事環境を再現できる点も、リモートデスクトップを使うメリットの一つです。あとは十分な通信速度・通信量が確保できれば、快適に作業できるでしょう。

緊急時に備えて事業継続性を確保できる

データとアプリケーションがリモートサーバーに保存されているため、現地の災害や障害が発生してもデータの損失リスクが低減され、事業の継続性が向上します
緊急時において多くの企業が直面した主な課題は、従業員が安全に仕事を続けるための環境をいかに迅速に整えるか、ということですが、新型コロナウイルス感染拡大時においても、リモートデスクトップは大きな効果を発揮しました。

軽作業であればパソコンのスペックが低くても問題ない

リモートデスクトップは、軽作業であれば低スペックパソコンでも問題なく動きます。先ほど紹介した通信速度の目安をクリアできれば、ハイスペックなマシンは必要ありません。
リモートデスクトップに導入の伴い高スペック機を新調する必要がない点も特筆すべきメリットと言えるでしょう。

リモートデスクトップを利用する際のデメリット・注意点

リモートデスクトップにはメリットだけでなく、デメリットや注意点もあります。事前に問題になり得る要素を確認し、対策を考えておくのがポイントです。
以下では、リモートデスクトップのデメリットと注意点を解説します。

通信速度が足りないと仕事の効率が下がる

リモートデスクトップを利用する際は通信速度が目安に達していないと仕事の効率が下がる可能性があります。業務内容によってはわずかな遅延さえもストレスの原因になるでしょう。
リモートデスクトップの機能をフル活用するためには、通信速度の確保・安定が不可欠です。

社内のパソコンの電源が落ちるとコントロールできなくなる

リモートデスクトップは、ホストとなる会社のパソコンが起動している必要があります。仮に社内のパソコンの電源が落ちると、リモートデスクトップによる操作を受け付けなくなります。これは、リモートデスクトップクライアント(従業員のパソコン)がホストマシンとの接続を失うためです。
未保存の作業がある場合、その作業は失われる可能性が高いです。一部のリモートデスクトップシステムではセッションが予期せず終了した場合に自動的にデータを保存する機能がありますが、これはシステムによります。

ネットワーク上のセキュリティリスクは払拭できない

リモートデスクトップは安全性の高い手法ですが、ネットワーク上にあるリスクを完全に防げるわけではありません。たとえば、マルウェアに感染しているメールを開いたり、不正なURLに会社の情報を入力したりすることで、情報漏えいが発生する可能性もあります
従業員のセキュリティリテラシー次第となるため、リモートデスクトップを使う際にも事前の研修・教育は重要です。

<従業員一人ひとりの仕事内容・労働時間が一目でわかる業務可視化ツール『RemoLabo』。無料トライアルはこちらから>

まとめ

リモートデスクトップは遠隔地でも社内と同じ仕事環境が実現するシステムです。
パソコンと十分な通信速度さえあれば出社時とほぼ変わらない質の高い仕事ができますから、リモートワーク体制を強化する予定の企業であれば、リモートデスクトップの導入は検討の価値があるでしょう。
ネットワーク構築にかかる初期費用や維持費はかかりますが、充実したリモート環境による業務効率や業績の向上、優秀な人材の離職防止、緊急時の事業継続など、得られるメリットは非常に大きいです。

コア業務とノンコア業務の違いとは?定義やアウトソーシングについて解説
自宅を快適なテレワーク環境に整備するために必要なものとは?
リモートワークに使える場所を紹介|場所ごとのメリットや注意点を解説
RemoLabo
Remotework labo編集部
Remotework labo編集部
このライターの記事一覧

Remotework labo(リモートワークラボ)は株式会社アイ・ディ・エイチ運営の「リモートワークの可能性と未来を追求するメディア」 です。 私たちの使命は、多様な働き方の実現を目指す皆さんに「なるほど!」と思っていただけるメディアを目指して日々リモートワークに関するさまざまな情報を収集・分析し、有益な情報発信すること。 編集部メンバーもリモートで活動しながら、読者の皆さんと一緒にリモートワークがもたらす可能性と未来を考えていきます!

おすすめ記事

同じタグの記事を探す

リモートワークの関連記事