【解決策あり】テレワークが難しい業種にテレワークを導入する方法
「テレワークを社内に導入したいけど、そもそも導入できる環境ではない」
こんな悩みを持つ企業は多いのではないでしょうか。政府はテレワーク導入率を7割目指す、と公言していますが、実際は3割近くしか普及していません。
それは、業種によってテレワークの導入が難しい企業があるからです。
そこで今回は、テレワークが難しい業種にテレワークを導入する方法を解説していきます。
目次
テレワークが難しい理由は「テレワークに適した仕事がない」から
テレワークが難しいと判断している企業の多くは「自社でテレワークに適した仕事がない」という考えているからです。
下記は総務省が企業向けに行った、テレワークを導入しない理由についてのアンケートです。
(出典:総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」)
上記のグラフから分かるように、70%以上の企業がテレワークに適した仕事がないから、という理由でテレワークを導入していないことがわかります。
なぜ、テレワークを導入することが企業にとって、難しいことなのでしょうか。もちろん社員用のPCや経費などのコスト面の問題もありますが、そもそも企業にとってのメイン業種がテレワークに向かない業種であればテレワークが難しいと判断されるのも当然といえるでしょう。
テレワーク導入が難しい仕事の特徴
テレワーク導入が難しい理由として3つのケースがあります。
・書類の管理が多い
・IT技術では対処できない業務が多い
・直接人の手でしかできない作業がある
下記で、具体的に解説していきます。
書類の管理が多い
テレワーク導入で大きな悩みとなるのが書類の管理です。書類の管理は基本的に会社で行い、テレワーク時には管理ができないからです。
会社の書類は機密情報が記載されていることが多く、社外に漏れないように、会社で管理しなくてはいけません。昨今ではデジタル化されている企業が多いですが、デジタル化に対応できていない企業も少なくありません。未だに上司の押印をもらう文化が残っている企業もあるほどです。
また、書類を社外に持ち出すとなると、情報漏洩のリスクも伴います。
書類ベースの仕事をしている企業のテレワーク導入はかなり難しいでしょう。
IT技術では対処できない業務が多い
企業がテレワークを導入できない理由の一つとして、IT技術では対処できない業務が多い、というケースがあります。
例えば、下記の業種はICTやITツールでは対応が難しい状況です。
・接客業
・運送・物流業
・建設業
・医療(※一部ではオンライン診療を実施)
・小売業
昨今では、自動レジやAIの発達により「人員削減」という形でIT技術に対応できる業種も増えてきましたが、100%導入には至っておらず、未だに上記の業種はテレワーク導入のハードルが高いのが現状です。
人の手でしかできない作業がある
上記で例として挙げた業種は全て「人の手が必要な業種」です。つまり、人の手でしかできない作業があるため、テレワーク導入が難しいということになります。
人の手が必要ということは、人による判断が必要ということです。トラブルが起こった際にも、人の経験値から答えを導き出し、その場に合った正しい判断を下さなくてはなりません。
IT技術は次第に発達しており、人間が代替される可能性もありますが、まだまだ人間ほどの難しい判断はできません。人の経験値による正しい判断は、まだ人の頭脳や手にに頼らざるを得ないことが現状です。
テレワーク導入が難しい業種はテレワーク化できないのか
ここまで、企業がテレワークを導入できない理由を解説してきました。では、テレワークが難しい業種でそれを可能にすることはできないのでしょうか。
結論からいうと、現時点で完全なテレワーク化は難しいでしょう。例えば、運輸・物流業であれば、商品を倉庫から出庫する作業、ドライバーが商品を積み込む作業が発生する現場が存在します。AI搭載の機械が発達していれば、対処できる可能性がありますが、現実的にまだ不可能です。そのため、どうしても現場の手が必要となります。
商品を家や配送先に届けるのも人間の手です。商品を人に届けるのは現実的に考えて、人間の手でしかできないでしょう。
完全なテレワーク化はできなくても、部分的なテレワーク化なら可能
テレワークが難しい業種では完全なテレワーク化はまだ難しいです。しかし、部分的にテレワークするなら可能ではないでしょうか。
たとえば、接客業を中心に展開している企業でも、経理や事務などデスクワーク中心の部署があるはずです。その部署をテレワーク化すれば、部分的なテレワーク化は実現可能になります。
もちろん、接客業中心の企業なので、接客業が主体である現場が存在します。現場とテレワークで働く人たちの間で、不公平が発生する可能性もあります。
一例にはなりますが、不公平を解消するため、現場で働く人たちの給料を少し上げて現場のやる気を上げる仕組みを作るなどするのも企業努力の一つではないでしょうか。
もちろん、どのような判断を下すかは企業の判断によります。しかしできる限り、テレワークしている人も、現場で働いている人も納得できる待遇を取るようにしていきましょう。
テレワークが難しい仕事をテレワーク化する方法
「テレワーク化できない業種を部分的にテレワーク化して、現場にいる人たちもそれなりの対応することが大切のなのはわかった。では具体的にどうすればいいのか?」
このように思う人もいるのではないでしょうか。ここでは、具体的に3つの対策を提案します。
・組織全体で社員がテレワークをできる環境を作る
・ICTツールの導入と、セミナーの開催
・テレワークを想定した事業の拡大
組織全体で、社員ひとりひとりにテレワークができる環境を作る
人手が必要な企業にテレワークを導入できるかは、個人でどうにか解決できる問題ではありません。企業自体がどうすればテレワークを導入できるかを考えていく必要があります。
上記で挙げた運送業・物流業は接客業と同じく、人手が必ず必要になるなので、テレワーク導入のハードルが非常に高いです。しかし、難しいからといってこのままにテレワーク導入を先送りするのは、今後のデジタル化に向けて大きく遅れてしまうことになります。
たとえば、物流業では大量の発注書やドライバーに渡す送り状が必要です。テレワークを導入してICTツールを導入すれば、自宅からでも出力可能とし、現場の人間がドライバーに渡すこともできます。
上記は一例ですが、業務フローやビジネスモデルを見直し、工夫をしていくことが社員それぞれのテレワーク化につながってきます。
ICTツールの導入と、セミナーの開催
テレワークを導入するために必須なものはICTツールです。ICTツールがなければ、テレワークは成り立ちません。
ICTを導入する際は下記の項目が必須です。
・社員の勤怠管理
・社員の状況(退席中、会議中など)
・社員のスケジュール
・チャットワーク機能
・テレビ会議の機能
・クラウドストレージ
・社員ひとりひとりの仕事の生産性
上記の機能がICTツールにあれば、円滑なテレワーク導入が可能になります。
また、ICTツールを導入する際には必ず、社員に対して、セミナーやミーティングを開きましょう。ICTツールは導入するに当たって、コストがかかっており、社員が使い方を間違えてしまうと、情報が漏洩する可能性があります。実際に、社員がデータの扱い方を間違え、インターネット上で企業の情報を漏洩させてしまったケースも起こっています。
企業にとって、情報漏洩はあってはならないことです。
お客様や社員の大切な情報を守るためにも、セミナーを開くなどして、必ず社員全員にICTツールの使い方を伝えましょう。
テレワークを想定した事業展開
働き方改革、新型コロナウイルスの流行により、テレワークが急速に拡大したのは事実ですが、欧米諸国に比べると日本のテレワーク実施率はまだまだ低いのが現状です。
テレワークを今後も拡大するためには、国を挙げてはもちろんですが、企業がテレワークを想定した事業を展開していくべきでしょう。
たとえば、実店舗を経営しているのであれば、商材をECサイトで販売してみるのも一つの手ではないでしょうか。
今後も新型コロナウイルスのようなパンデミックは世界中で起きる可能性があります。企業は常に危機感を持ちながら事業を進めていき、事業を展開していく必要があるでしょう。
テレワークの完全導入には時間を要する
テレワーク導入が難しい企業が、イチからテレワークを導入するのには時間がかかります。
・ICTやAIの発展や技術の進歩
・お客様、社員にとっての安全安心の環境整備
・導入しても利益を残せるか
上記の3つが成立しないと、テレワークを導入しても意味がありません。そのため、導入に時間がかかってしまうことは否めないでしょう。
企業、社員、そしてお客様。全員がテレワークを導入して良かったと思えるような体制をと整える必要があります。場合によっては経営方針までも変える必要があるのです。
そのため、テレワーク導入を成功させるためには時間がかかります。
社員が働き方を選択できる時代。企業がそれに応える必要がある
昨今ではテレワークの導入が企業のブランド力の一つとなっています。
つまり、社員が働き方を選べる時代になった、ということです。企業はその要望に応える必要があるのではないでしょうか。
もちろん、テレワークを導入するのには、時間的・金銭的コストがかかります。しかし、将来的に場所を問わずに働くことが当たり前の世界になっていきますし、テレワーク実施を掲げることで優秀な人材の流出を防ぐことも可能です。
まとめ
テレワーク導入は職種によっては非常に難しいです。また、時間的・金銭的コストがかかります。
しかし、これからの時代は働く場所が問われない、多様な働き方が求められます。日本でも昔と違い、共働き世代が増えて、男性が育児に積極的に参加する時代になってきました。
テレワークはそんな現代に必要なワーキングスタイルです。
大切なのは、社員、そしてその先にいるお客様です。社員の満足度が上がると、お客様の満足度も上がります。
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