海外リモートワークのメリットとは?税金やビザ、注意点も解説
リモートワークの普及により働く場所を自由に選べるようになりました。自宅はもちろん、都心から遠く離れた地方都市や離島、そして海外からも。
実際、海外在住のままリモートワークで働く人が徐々に増えていますが、海外でリモートワークする場合はいくつかの注意点があります。
そこで今回は、海外リモートワークのメリットや注意点、就労ビザの問題などについて解説します。
目次
海外リモートワークとは?
海外リモートワークとは、海外に居住しながら国内の業務を行うことをいいます。
働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大を機に、リモートワークを導入する企業が増えた結果、海外で生活しながら国内業務を行う海外リモートワークも実施されるようになりました。
海外リモートワークは、国内にいなくても日本企業で働ける新しい働き方といえるでしょう。
海外リモートワークが増える背景
海外に居住しながら日本企業の従業員としてリモートワークする働き方は、数年前までは一般的ではありませんでした。ここでは、どうしてこのような働き方ができるようになったのか、その背景は何があるのでしょうか。
働き方の改革の推進
海外リモートワークが進む理由として、政府による働き方改革の推進が挙げられます。海外リモートワークは、日本人を含む多様な人材が場所にとらわれず自由に働けるよう、環境を整備する働き方改革の取り組みの一つと言えるでしょう。
日本人の働き方の意識が変化
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、日本人の働き方は大きく変わりました。リモートワークの導入が一気に進み「どのように働くか」の意識が変化した結果、好きな場所で仕事をする働き方への関心が高まったことも海外リモートワークが進んだ一因です。
海外でリモートワークするメリット
前述の通り、日本人の働き方の意識は変化し、ワークライフバランスを重要するようになりました。自分らしい働き方を追及した結果、海外でのリモートワークを選択する方、家事都合による海外居住でキャリアを諦めないための手段として海外リモートワークを選択する方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、その選択をした方と企業にどのようなメリットがあるのか解説します。
柔軟な働き方が可能
海外リモートワークが可能な企業に就職すれば、海外で暮らしながら在籍中の日本企業を従業員として働けます。つまり、退職せずキャリアを継続できるわけです。海外リモートワークができない場合、海外駐在の可能性がある企業に就職したり、現地で苦労して転職先を探したりといった選択しかなかったかもしれません。
企業にとっても、海外リモートワークの体制を整えれば優秀な人材の離職を防げるメリットがあります。
現地の情報をいち早く入手できる
海外リモートワーク海外で働く従業員がいれば、駐在所を設けるリスクやコストを削減できるメリットがあります。現地のリアルな情報を正確に把握するのが容易ではない場合でも、現地事情に精通している人材を海外リモートワークで雇用すれば駐在所設置よりコストがかからず、効率的に情報収集できるでしょう。
出張費や手当を削減できる
海外でリモートワークする従業員がいれば、日本から現地に向かう海外出張費や手当のコストを削減できます。また、アメリカやヨーロッパへの出張となると不在期間が長くなり、国内の業務に支障が生じるケースもあるでしょう。海外でリモートワークする従業員がいれば、現地で早急に対応可能です。
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海外リモートワークの注意点
海外でのリモートワークはメリットばかりではありません。
海外にいるからこそ注意しなければならない点には、どういったものがあるのでしょうか。
時差
海外でリモートワークすると、どうしても日本との時差の問題が生じます。
メールやチャットなどで連絡を取ることは可能ですが、リアルタイムでのコミュニケーションが必要なときは時間が限定されてしまいます。
また、期日のある業務に関しては、日本時間に合わせて仕事を進めなければなりません。現地の休日や祝日は、日本では営業日にあたるケースがあるので注意が必要です。
作業環境
リモートワークする以上、仕事場はインターネットが利用できる環境でなければなりません。
現地の通信インフラの状況によっては日本からポケット型Wi-Fiを準備して持参するなどの対策が必要でしょう。
社員同士のコミュニケーションが減る
日本にいる従業員とのコミュニケーションが減ってしまいます。
時差の関係で生活時間帯も異なるため、この点は仕方がありません。しかし、コミュニケーションの機会が減っていくとお互いの仕事が不透明になって業務が滞ったり、信頼関係が薄くなったりするので注意が必要です。
海外でリモートワークする場合に就労ビザは必要か?
雇用保護や治安維持の観点から、日本人が海外で就労する場合は「就労ビザ」を取得しなければなりません。したがって、日本人が海外でリモートワークする場合は、就労先の国や地域における就労ビザが必要です。
リモートワーク向けの就労ビザを発行する国・地域
世界のさまざまな国や地域では、リモートワークに特化した就労ビザを発行し、リモートワークする方を積極的に受け入れています。滞在可能期間や条件は国によって異なるものの、受け入れ態勢が整っている国は数多くあります。
(参考:German Freelance “Freiberufler” Visa – Germany Visa
Work remotely from Dubai | Business in Dubai)
海外リモートワークの税金
海外でリモートワークする場合の税金はどうなるのでしょう。
この点、居住者か非居住者によって課税される所得の範囲が異なり、手取り金額が変わってきます。
居住者は日本への納税が必要
国税庁のHPに掲載されている居住者と非居住者の区分を見ると、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。海外でリモートワークしても、生活拠点を日本に置き、日本の住所を有している場合は居住者の扱いになるので原則日本に納税しなければなりません。
(参考:No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁)
非居住者は現地に納税
日本国内に住所を有していなければ非居住者になります。非居住者は基本的に現地に納税しなければなりません。支払う税金の種類は現地の法律によって異なるので調べる必要があるでしょう。
非居住者である従業員は、海外勤務に基づく給与に関しては国内源泉所得に該当せず、所得税の課税対象にはなりません。
補足:海外リモートワーク事情
柔軟な働き方でコストの削減や通勤ストレスの軽減など、さまざまなメリットをもたらすリモートワークは海外でどの程度定着しているのでしょうか。
アメリカの場合
総務省のアメリカの労働者を対象とした調査によると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後に、一度でもリモートワークをした経験がある割合は半数以上にのぼります。コロナ収束後におけるリモートワークの実施日数は週5が一番多く、リモートワークの実施意向の高さがわかります。ほかの国と比較しても、アメリカのリモートワークの普及率は高いといえるでしょう。
(参考:令和3年版 情報通信白書|海外におけるテレワークの動向)
ヨーロッパの場合
ヨーロッパは国によって差があるものの、オランダをはじめ、リモートワークの普及率は高いといえます。なお、2017年にフランスでは、勤務時間外に企業の連絡に対して応答しなくても許される「つながらない権利」が法制化されました。心身の健康を保つワークライフバランスを大切にするための「つながらない権利」の法制化は、イタリアやベルギーでも導入されています。
(参考:つながらない権利とは?世界での法制化事例や日本の取り組み)
アジアの場合
アメリカやヨーロッパに比べると、多くのアジアの国ではリモートワークが広く普及しているとはいえません。中国においては、上海などの大都市圏を中心にリモートワークは普及しているものの、中国全体の普及率も見るとかなり低く、地方との落差が激しい状況です。都市部のみインフラが整備され、地方ではテレワークの環境を整えるのが難しいという理由が挙げられます。
まとめ
異文化理解を深めつつ自己成長を味わえる海外リモートワークは、ウェルビーイングの追及につながるでしょう。ワークライフバランスを重視して自分らしく働く環境を追及している方にとって、海外リモートワークという働き方は選択肢一つになるのではないでしょうか。
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(参考)
令和3年版 情報通信白書|海外におけるテレワークの動向
German Freelance “Freiberufler” Visa – Germany Visa
Work remotely from Dubai | Business in Dubai)
令和3年版 情報通信白書|海外におけるテレワークの動向
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