転職の面接で在宅勤務を希望する理由を伝える際の注意点とは?

転職の面接で在宅勤務を希望する理由を伝える際の注意点とは?

新型コロナウイルスの影響で広がった在宅勤務。
感染状況が落ち着き始めてからは多くの企業が出社に戻していますが、在宅勤務を希望する声は依然として根強く、特に転職活動中の求職者の間でその需要が高まっています。
そこで今回は、在宅勤務で働きたい方に向けて、転職の面接で在宅勤務を希望する理由をどのように伝えるべきか、その際の注意点を解説します。

在宅勤務希望者増加の背景

新型コロナウイルス感染症の拡大を機に浸透した在宅勤務ですが、2022年後半から2023年にかけて多くの国で感染対策の制限が解除され、オフィスでの勤務が再開されるようになりました。

しかし、在宅勤務の継続を希望する声は多いものです
パーソルキャリア株式会社運営の転職サイト「doda」が2023年、社会人15,000人に実施した「リモートワーク・テレワークの実態調査」によれば、「どんな働き方・働く場所を求めている?」との質問に対し、リモートワークできる働き方を希望するとの回答は61.2%でした。
※61.2%の内訳は「自宅などでリモートワーク(在宅勤務・テレワーク)」が19.7%、「ハイブリッドワーク」が41.5%。
(参考:doda「ホンネの転職白書」<働き方や働く場所はどう変わった?リモートワーク・テレワークの実態調査>

特に、次のような事情がある場合は在宅勤務の方が好都合です。

育児や介護との両立

育児や介護の時間を確保するために在宅勤務を希望する人は非常に多いです。特に子どもの保育園や学校の送り迎えが必要な時期に在宅勤務が可能になれば家庭内の負担が軽減され、ライフワークバランスの維持はもとより、キャリアの断絶防止にもつながります。

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通勤時間の短縮

通勤時間の短縮も、在宅勤務を希望する大きな理由の一つです。多くのビジネスパーソンにとって長時間の通勤はストレスや疲労の原因となり、仕事のパフォーマンスにも影響を与えます。
総務省統計局が2021年に実施した社会生活基本調査によれば、通勤・通学時間の全国平均は1時間19分。1週間、1ヶ月、1年と見ていけば、決して軽視できない時間です。
(参照:総務省統計局『夜更かし!?ランキング 』&『通勤・通学時間が長い!?ランキング』

リスキリングの増加

技術の急速な進化や労働市場の変化の影響を受け、新しいスキルを習得するための時間を確保する目的で在宅勤務を希望する人も増えています。
特に終業後にオンラインコースを受講するなどしてリスキリングに勤しむビジネスパーソンにとって、自由時間を確保しやすい在宅勤務は理想的な働き方になるでしょう。

地方移住・郊外への転居

都市部の喧騒を離れて自然豊かな地域に移住したり、生活コストを削減するために都市部から郊外へ転居したりする場合においても、在宅勤務は理想的な働き方の一つになります。
在宅勤務で”通勤できる場所”という制限がなくなれば居住地は実質自由になりますし、人口減少が深刻な地域にとっては地方創生の有効な解決策にもなります。
また、在宅勤務が可能になったことで配偶者の転勤によるキャリアの断絶を防げた方も多いのではないでしょうか。

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健康維持

在宅勤務により、食事・運動習慣が改善しやすくなる点も大きな魅力です。外食の頻度が減り、一定時間運動する時間も確保できるようになれば、結果的に健康維持につながります。
メンタル面で問題を抱えている場合は多くの人が集まるオフィスや駅の喧噪が悪影響を与えることがありますが、在宅勤務であればこうした状況から距離を取れるので安心です。

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在宅勤務導入企業の求人動向

 

コロナ禍に入る前からビジネスパーソンがより柔軟な働き方を模索する動きはありましたが、それを許可するかは企業の判断に委ねられていたため、多くの場合は選択肢が限られていたのが実際のところでしょう。
しかし、オフィス以外の場所でも勤務が可能であることが実証された今、在宅勤務が叶えられる職場を求めて転職活動を始める人が増えており、それと比例するように次のような業界では在宅勤務を前提とした求人が増えています。

IT業界

IT業界は在宅勤務を導入する企業が非常に多い傾向にあります。業界の性質上、ほとんどの業務がデジタルツールで行われるため、物理的なオフィスに縛られる必要がありません。実際、デジタルツールを上手に活用すればプログラミングやネットワーク管理、クラウドコンピューティングに関連する仕事は在宅勤務でも問題なく効率的に行えます。
令和3年に総務省が発表した「情報通信白書」によれば、情報通信業におけるテレワーク実施率は55.7%であり、他業種と比べると在宅勤務を導入する企業の数は圧倒的に多いです。
(参考:総務省「令和3年版 情報通信白書」)

クリエイティブ業界

クリエイティブ業界もまた、在宅勤務を積極的に採用しています。デザイン、ライティング、ビデオ編集、マーケティングなどのクリエイティブな職種はデジタルツールの利用が主流であり、在宅でも高い生産性を維持できるからです。特に、グラフィックデザイナーやコンテンツクリエイター、デジタルマーケターなどはリモートでの作業が一般的になっています。

金融・保険業界

少し前まで、金融・保険業界はセキュリティリスクの懸念や業務プロセスに対するコンプライアンス規制、オフィス中心文化の根強さから在宅勤務をはじめとする柔軟な働き方には保守的な傾向がありました。ところが、パンデミックの影響でリモートワークが急速に普及し、金融・保険業界もその流れに対応する必要が生じた結果、在宅勤務の導入が進んでいます。
データ分析やリスク管理、オンラインの顧客サービスなど、在宅勤務が可能な職種はそう多くはありませんが、企業側はセキュリティ対策を強化しながら少しずつ柔軟な働き方を推進しています。

法律業界

法律業界では契約書のレビューや法的アドバイスをオンラインで提供するサービスが拡大しています。伝統的にオフィスでの勤務が重視されてきましたが、若手弁護士や新進の法律事務所では在宅勤務を許容することで多様な働き方を提供し、人材の確保と離職率の低下を図る動きが見られます。
なお、会計業界においても会計士や税理士がリモートでクライアントの財務状況を管理することが増えており、オンラインでの帳簿管理や税務申告が可能です。

マーケティング・広告業界

デジタルマーケティングの需要が高まる中、マーケティングや広告業界ではリモートワークが急速に普及しています。
デジタルマーケティングはオンライン広告、SEO、SNSマーケティング、メールマーケティングなどを含み、これらの活動はすべてインターネットを介して可能です。このため、Webマーケターやソーシャルメディアマネージャーなどの職種はリモートワークに非常に適しています。

転職の面接で在宅勤務を希望する理由を伝える際の注意点

転職の面接で「在宅勤務を希望する理由」を伝える際には、いくつかの注意点があります。単に「在宅勤務ができるから」とだけ話すのではなく、具体的な理由と会社に対する貢献の意欲をしっかり伝えることが重要です。

在宅勤務が業務に良い影響を与えることを強調する

まず、在宅勤務を希望する理由として、業務効率やパフォーマンスの向上を強調しましょう
たとえば、「自宅での勤務環境により集中力が高まり、業務をより効率的に進められる」と具体的に説明することで、在宅勤務が仕事の質にどのようにプラスになるかをアピールできます。
また、在宅勤務が企業の目標達成にどのように貢献できるかを示すことも大切です。「在宅勤務により通勤時間を削減し、その分を業務に充てることでプロジェクトの迅速な進行に貢献できる」といったように、希望の働き方が企業の利益にもなることを強調すると良いでしょう。

個人的な事情を全面に出し過ぎない

在宅勤務を希望する理由が非常に個人的な事情(プライベートを充実させたい、会社とは適度な距離を保ちたいなど)に基づく場合はその理由だけでなく、どうしてその環境が仕事の効率や成果にプラスの影響を与えるのかを具体的に説明することが求められます。この点を上手く説明できれば、企業側に対して「仕事への真剣さ」を示せるでしょう。

「状況によっては出社も可」柔軟性があることを示す

在宅勤務に固執しない柔軟性を示すことも大切です。在宅勤務を希望する一方で、必要に応じてオフィス勤務にも対応できる姿勢を伝えると、企業からの信頼感を得やすくなります
これらのポイントを押さえれば、在宅勤務が自己の能力を最大限に発揮するための一つの手段であることを面接官に効果的に伝えられるでしょう。

面接で良い印象を与えられる在宅勤務希望理由の一例

企業は応募者がその会社や職種に興味を持ち、どう貢献したいと考えているかを評価します。そのため、在宅勤務の希望を伝える際にも、あくまで応募する企業や業界、職種に興味・意欲があり、成果を出すための手段として在宅勤務を希望するという内容がベストです。
たとえば、次のようなものが挙げられます。

集中力の向上と効率的な業務遂行には在宅勤務が有効

「郊外に住んでいるのでどうしても通勤時間が長くなってしまうのですが、在宅勤務ならその時間をカットできる分、集中しやすい朝にマーケティング分析や戦略立案でき、より質の高いアウトプットできます。また、集中できる環境は人によって違いがありますが、私は自宅の方が集中力を最大限に発揮できるので、より効率的に仕事を進められると感じます」

在宅勤務なら柔軟なスケジュール対応が可能

「現在育児中ではありますが、在宅勤務であれば時間に余裕ができるため、海外のクライアントとも時差を気にせずにコミュニケーションを取ることが可能です。御社で行っているような国際的なプロジェクトではリアルタイムでの対応が重要なので、フレキシブルかつ迅速に対応できるのは大きな利点だと思います」

在宅勤務で健康管理とパフォーマンスが向上する

「一度体を壊したことがありますが、自宅で働くことで健康管理ができるようになって体調が戻りました。現在は健康上の問題はありません。ですので、今後も在宅勤務を続けることで長期的なパフォーマンスの向上を目指したいと考えています。健康を取り戻せたおかげで資格も取得できました」

在宅勤務の方がクリエイティブなアイディアが湧く

「出社して同僚とコミュニケーションしながら仕事をするのも好きなのですが、作品を作るときはどちらかというと自宅の静かな環境の方が良いアイディアが浮かびます。これからもクリエイティブに携わっていきたいので、このアイディアが湧く感覚を大切にするためにも、できれば在宅勤務で働きたいと思っています」

どうしても在宅勤務にしたい場合は完全在宅勤務の企業がおすすめ

転職を考える際、どうしても出社が難しい場合には完全在宅勤務(フルリモートワーク)の企業を選ぶのが賢明です。このような企業は、すでに在宅勤務を前提とした業務体制やコミュニケーションインフラを整えており、効率的に働ける環境が確立されています。
これにより、社員同士のコミュニケーションやプロジェクト管理がスムーズに行えるので、仕事の質や効率が落ちる心配はほとんどありません。また、リモートワークをサポートするためのトレーニングや福利厚生が整っていることも多く、在宅勤務が初めての場合でも安心して働けるでしょう。

また、完全在宅勤務の企業は普段の働きぶりを直接確認できない分、評価は仕事の成果に基づいて判断する成果主義を採用する企業が多い傾向にあります
年功序列型の企業と比べると仕事への評価は多少厳しくなりますが、一方で努力が評価されやすいと言えるでしょう。

なお、こうした企業は自律的に仕事を進められる人材を求める傾向があるため、面接では仕事への責任感や自己管理能力をしっかりアピールすることが大切です

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まとめ

在宅勤務の希望を面接で伝える際には、ただ単に「在宅勤務がしたい」と言うだけでは説得力に欠けます。働き方にどう役立つか、そして企業にどのような貢献ができるかを具体的に説明して、面接官に対してポジティブな印象を与えましょう。
また、併せて自主的に働けることや自己管理能力を強調することも重要です。

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