タイムカードの保管期間を守らなかった場合の罰則とは?タイムカードを適切に保管する方法についても解説

タイムカードの保管期間を守らなかった場合の罰則とは?タイムカードを適切に保管する方法についても解説

2022年4月1日に施行された改正労働基準法により、タイムカードの保管期間が延長されました。
労務関係書類の保管・管理は記録することそのものよりも頭を悩ませることが多く、今後の対応を色々と検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、民法改正に伴うタイムカードの保管期間の変更点やタイムカードの保管期間を守らなかった場合の罰則、タイムカードを適切に保管する方法について解説します。

タイムカードの保管期間は5年に延長。2022年3月31日までに作成されたものは従来通り3年で可

労働基準法の改正により、タイムカードの保管期間が3年から5年に延長されました。新しい規定は2022年4月1日から適用され、これにより過去の記録に対する管理が一層重要となっています。
それでは、タイムカードの保管期間が延長された背景や、期間延長が適用されるタイムカードについて確認していきましょう。

タイムカードの保管期間は3年から5年に延長

2022年4月1日から施行の労働基準法の改正により、タイムカードの保管期間が5年間に延長されることが決まりました。

これには、2020年に実施された民法改正が間接的な影響を与えています。この民法改正では労働者が賃金を請求できる期間、すなわち賃金請求権の時効が従来の2年間から5年間に延長されました。この変更を踏まえ、労働基準法も関連する労務記録の保管期間を5年間に延長する必要があるとされ、2022年に改正されたのです。

したがって、2022年4月1日以降に作成されたタイムカードは、5年間の保管が義務付けられています

2022年3月31日までに作成されたタイムカードは3年で可

ただし、2022年3月31日以前に作成された書類については、従来通り3年間の保管で構いません
タイムカードがいつ作成されたものなのか、日付を確認して保管期間を間違わないように注意しましょう。

タイムカードの保管期間を守らない場合の罰則とは?

タイムカードの保管期間を守らないことなどの労務管理における不備が労働基準監督署の監査で発見されると是正勧告が行われ、その後も是正されない場合には労働基準法第120条により、30万円以下の罰金が科される可能性があります
そのほか、タイムカード(労務)関連では具体的に次のような状況で罰則が科される可能性があるので、企業側は注意が必要です。

罰則が適用される可能性がある状況

・労働時間の記録不備
タイムカードの保管は行っていたが、記録が不完全である場合。たとえば、出勤時間や退勤時間が正確に記録されていない、または記録が改ざんされている場合も労働基準法違反とみなされることがあります。

・監査への非協力
労働基準監督署の監査に対して適切な記録を提出できなかった場合も該当します。たとえば、タイムカードの提出を求められた際に正当な理由なく拒否する、隠すなどした場合には罰則が適用される可能性があります。

タイムカードを適切に保管する方法

法律に準拠しつつ、労務管理の効率化とトラブル防止を図るためには、以下のポイントを押さえてタイムカードを適切に保管することが大切です。

デジタル化による効率的な管理

タイムカードをデジタル化(労務管理システムを導入するなど)することで、保管と管理が格段に効率化されます
デジタルで記録されたデータはクラウドストレージなどに保存することで長期間にわたり安全に保管できるうえ、必要なときにすぐに検索・閲覧が可能であるうえ、物理的なスペースを必要としないので保管コストも削減できます。
さらに、デジタルの記録にはタイムスタンプや編集履歴が残るため、改ざんリスクの心配もありません

紙のタイムカードは安全な場所に保管する

紙のタイムカードを使用している場合は湿気や火災などのリスクから守るため、保管場所に注意が必要です。防湿・防火対策が施された専用の保管庫を使用することで、タイムカードの劣化や紛失を防ぐことができます。また、定期的に保管状況を確認し、必要に応じて適切な措置を講じることも重要です。

防湿・防火対策が施された専用の保管庫がない場合には外部の書類保管サービスや、狭いオフィス内でもスペースを取らない比較的小型の耐火金庫や耐火キャビネットの利用を検討しましょう。

金庫や外部サービスの利用が難しい場合は、防湿袋や防湿保管箱を使用して、簡易的な対策を取ることも選択肢の一つです。防火機能はないのでリスクを完全に回避することはできませんが、最低限の保護にはなるでしょう。

保管期間の把握と整理、保管責任者の設置

タイムカードの保管期間をしっかりと把握し、定期的に整理しましょう。
保管期間が終了したタイムカードは廃棄のルールに基づいて処分する必要がありますが、その際にも情報漏洩防止のためにシュレッダーで細断したり、専門業者に依頼したりするなどして適切な方法で廃棄してください
社内に保管責任者を設置し、適切な管理が行われているかを常にチェックする体制を整えていれば、労働基準監督署の監査にもスムーズに対応できます。

法改正への対応と従業員教育

タイムカードの保管に関する法改正に迅速に対応するため、常に最新の法令情報を把握してください。さらに、従業員にもタイムカードの重要性や正しい管理方法について教育を行い、全社的に法令遵守の意識を高めておきましょう

労務リスクを回避するために労務担当者が心がけるべきこと

労務関連のトラブルを未然に防ぐために、企業の労務担当者は常に次のことを心がけましょう。

一貫したルールの設定と運用

まず、タイムカードの記録方法や保管に関して明確で一貫性のあるルールを設定し、それを全従業員に徹底周知することが重要です。ルールがあいまいだと記録ミスや管理の不備が発生し、トラブルの原因になります。社内で統一された手順を定め、すべての従業員が同じ方法でタイムカードを記録・保管するよう指導しましょう。
この点、勤怠管理ツールを導入すれば、正確かつ客観的な記録が可能になり記録のミスを防ぐことができます。

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定期的な法令チェックと対応

労働基準法や関連法令は、時折改正が行われます。最新の法令に対応するためには、定期的に法令の動向をチェックし、必要な対応を速やかに行うことが重要です。労務管理者は法務担当者と連携して、継続的に法改正の情報を収集・共有するようにしましょう

タイムカード以外でも長期保管が必要な労務関係書類

タイムカード以外にも、企業が長期にわたって保管しなければならない書類があります。
以下は、タイムカードと同様、保管に注意が必要な書類です。

賃金台帳

賃金台帳は従業員に支払った賃金の詳細を記録したもので、労働基準法第108条に基づいて作成が義務付けられています。賃金台帳には基本給や残業代、各種手当などの内訳が記載されており、給与計算や税務監査の際に必要となる重要な書類です。この賃金台帳も、5年間の保管が義務付けられています。

労働者名簿

労働者名簿は企業で働くすべての従業員の氏名、生年月日、住所、職歴、雇用開始日などが記載された名簿です。企業は労働基準法第107条に基づいて労働者名簿を作成し、退職・解雇者の情報も含めて最低5年間保管が義務付けられています。

就業規則と労使協定

就業規則は企業の労働条件や規律を定めた規則であり、常時10人以上の従業員がいる企業はこれを作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります。また、労使協定(例えば、36協定)も労働時間や休日に関する重要な取り決めであり、これらの書類も5年間保管する必要があります。

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安全衛生に関する記録

労働者の安全と健康を守るために、企業は安全衛生に関する記録を保管する義務があります。これには、健康診断の結果や作業環境測定のデータ、労災の記録などが含まれ、これらも労働基準法や労働安全衛生法に基づき、5年間の保管が義務付けられています。

 雇用契約書

雇用契約書には労働条件や業務内容、契約期間などが含まれ、労使双方の合意内容を明確に示すものです。雇用契約書も、最低5年間保管することが推奨されており、契約内容のトラブルを避けるためにも重要です。

まとめ

タイムカードをはじめとする労務関連書類は会社と従業員双方の権利義務を明確にし、公平性を担保するために必要なものです。
こうした書類の効果をしっかり発揮させるためには適切に保管しなければなりませんから、単に記録するだけにとどまらず、「誰が・どのように・どこに・いつまで保管し、廃棄するのか」という一連の流れを今一度社内で確認し、是正すべき点があれば早めに対処しましょう。

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Remotework labo編集部
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