テレワークで人間関係が楽になる?適度な距離感が職場にもたらす効果について
職場の人間関係は仕事の満足度やパフォーマンスに直結する重要な要素です。長時間労働が長く、現場主義的傾向が強い日本企業では対面でのストレスが人間関係に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
そこで今回は、テレワークがもたらす職場の人間関係におけるメリットを中心に可解説します。
軽視できない職場の人間関係 離職にも大きく影響
職場には常に複数の従業員が存在する以上、人間関係は仕事の満足度やパフォーマンスに直結する重要な要素になります。職場での人間関係が良好であればチームの一体感を高めて生産性を向上させますが、逆に悪化すると仕事への意欲が低下し、ストレスが増大する原因となります。
厚生労働省が2021年に全国の事業所を対象に実施した「令和3年雇用動向調査」によれば、転職入職者が前職を辞めた理由として挙げられているなかで「「職場の人間関係が好ましくなかった」と回答しているのは男女合計で17.7%でした。(内訳は男性が8.1%、女性が9.6%)
この数字は「その他の個人的理由」や「その他の理由(出向等を含む)」を除くと男性は2番目、女性は3番目に多い離職理由であり、職場の人間関係が人材流出に大きな影響を与えることがわかります。
(参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査」)
人間関係の些細なトラブルや摩擦であっても、それが積み重なると大きな問題に発展することも少なくありません。希望部署や職種に配属されたり、待遇面で好条件であったりしても、職場の人間関係が良好でなければ職場や仕事への満足度は下がるばかりでしょう。
一日の大半を職場で過ごす日本のビジネスパーソン。職場の人間関係は良いに越したことはありません。
テレワークで人間関係が楽になる理由とメリット
冒頭の通り、日本は他国と比べると長時間労働、現場主義の傾向があります。そのため、職場の人間関係から解放されづらいものですが、そのような悩みごとを抱えるビジネスパーソンにとって気になるのがテレワーク。
次のような理由からテレワークで人間関係が楽になることがあるからです。
通勤のストレスから解放=精神的な余裕が人間関係にも影響
テレワークでは通勤時間がなくなるため、移動によるストレスから解放されます。長時間の通勤や満員電車のストレスがなくなると心身の負担が軽減するのはもちろんのこと、時間にも余裕が生まれます。すると冷静かつ前向きな思考になりやすく、対人関係においても柔軟で寛容な態度を取ることができるようになります。
コミュニケーションの効率化=無駄が減る・誤解が生じにくくなる
テレワークでは無駄な会話や雑談が減り、業務に集中しやすくなります。また、チャットツールやメールを使うことで伝えたいことを正確に伝えられて誤解が生じにくくなるうえ、文章で記録が残るため後から確認することも簡単です。コミュニケーションの無駄が減る・誤解が生じにくくなることは、仕事の生産性を考えなければならないビジネスパーソンにとって大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、コミュニケーションツールを上手に使えれば、の話です。
フレキシブルな仕事環境でパフォーマンスアップ=焦りや緊張からの人間関係の摩擦が減る
通常、仕事のプレッシャーや時間的な制約が厳しいと、コミュニケーションが急ぎがちになり、焦りや緊張が生じやすくなります。しかし、テレワークによるフレキシブルな環境ではこのような状況が減少し、冷静で丁寧なやり取りができるため、人間関係の摩擦も少なくなります。
適度な距離感を保てる=職場全体の雰囲気が穏やかになる、仕事に対して客観的になれる
他者からの直接的なプレッシャーやプライベートへの干渉から解放されると、感情的な対立や不必要な対話を避けられるようになります。その結果、同僚に対して余計なイライラ感を持つことが少なくなりますし、親密になり過ぎず客観的にお互いの仕事を見られればプロフェッショナルな態度で仕事に臨めるメリットもでてくるのです。
人によっては苦手意識を持つ同僚と対面で会う機会が少なくなることで、離職を検討せず済む場合もあるでしょう。テレワークで適度な距離感を保つことには職場全体の雰囲気を穏やかにする効果が期待できるのです。
テレワークで人間関係が悪化する場合も
テレワークには職場の人間関係において多くのメリットがありますが、すべてにおいてポジティブな影響をもたらすわけではありません。場合によってはむしろ人間関係が悪化するリスクも存在します。
コミュニケーション不足による誤解のリスク
テレワークでは対面でのやり取りが減るため、コミュニケーションの機会が限られます。
無駄なコミュニケーションは人間関係や業務に悪影響を及ぼしますが、その一方、コミュニケーションの機会があまりに削ぎ落されてしまうと必要な情報が十分に共有されず、業務に支障をきたす恐れがあります。
また、オンラインでのテキストコミュニケーションでは表情や声のトーンといった非言語的な要素が伝わらないため、意図が正確に伝わらないこともあるでしょう。
孤立感の増加とチームの一体感の喪失
テレワークでは同僚との自然なコミュニケーションが減るため、チームの一体感や連帯感が弱まることがあります。特に、新入社員や職場に慣れていない従業員は孤独を強く感じる傾向があり、結果として職場への帰属意識や仕事へのモチベーションが低下して短期離職者が増えるリスクが生じます。
評価の不公平性への不満
テレワーク中は、同僚や評価権限を持つ上司がメンバーの仕事の進捗状況や努力の様子を直接見られません。そのため、従業員がどれだけ頑張っているかが伝わりにくく、公平に評価されていないと感じることがあります。
また、成果物を制作するクリエイティブ関連職や売上に直結する営業関連職など成果のわかりやすい職種と、定量化が難しい総務や人事などの管理部門の職種とがあるように、部署や職種ごとに適切な評価方法を設けなければ評価への不満が募りやすいでしょう。このような状況はチーム全体のモチベーションに悪影響を及ぼし、メンバー間の信頼関係を損なう可能性があります。
テレワークで人間関係を良好に保つポイント
そもそも、人間関係は物理的な距離を調整するだけ良好に保てるほど簡単なものではありません。そして職場という特性上、上下関係や給与に影響を与える評価など人と人との摩擦が生じやすい条件が揃っているため、テレワークで人間関係を良好に保つためには以下のような対策や工夫が必要になります。
定期的な対面の機会を設ける
テレワーク中心の環境でも可能な範囲で定期的に対面の機会を設けることが重要です。
たとえば、四半期ごとの全社会議やチームビルディングイベントなど、直接会ってコミュニケーションを取る場を作ることで、オンラインでは得られない微妙なニュアンスや信頼関係の強化が図れます。
メンタリングやサポート体制の強化
特に新人やキャリアの浅い従業員に対してはメンタリングやサポート体制を強化することが重要です。テレワーク環境では個々の従業員が感じる不安や疑問に気づきにくいため、メンターのような制度を活用して定期的にフォローアップを行うと良いでしょう。これにより、従業員が孤立することなく、安心して業務に取り組める環境を提供できます。
目標設定や進捗管理、評価の透明性を確保する
各従業員の目標と進捗状況を明確にすることも、テレワークでの人間関係を良好に保つための重要なポイントです。チーム全体で目標を共有し、定期的に進捗を確認することで、各メンバーがどのように貢献しているかが見えやすくなります。また、達成状況や貢献度が明確になることで、不公平感を感じるリスクを減らし、評価の透明性を高めることもできます。
なお、テレワークでの目標設定や進捗管理、生産性の確認などにはテレワークを前提とした勤怠管理ツールの利用が便利です。数字やグラフで示された客観的なデータを根拠に業務管理を行えば最終的な評価に対する公平性・透明性が強化されるでしょう。
社内コミュニケーションの多様化
コミュニケーション手段を多様化することも有効でしょう。定期的なビデオ会議に加えて、非公式なチャットグループやオンラインフォーラムを活用し、仕事に関することだけでなく、趣味や興味に関する話題で交流する場を設けるのもおすすめです。こうした交流によりチームメンバー間の親近感が高まり、対面交流の機会が多くなくても人間関係を豊かにできます。
まとめ
テレワークにはメリットとデメリットの両方が存在しますが、それをどのように活かすかは個々の組織や従業員の取り組み次第です。テレワークの利便性を最大限に活かしながらリスクを最小限に抑えるためには、企業文化やコミュニケーション戦略の再構築が求められます。
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