「テレワークをさせない上司」の特徴と説得方法・コツとは?

「テレワークをさせない上司」の特徴と説得方法・コツとは?

近年、テレワーク(リモートワーク)は多くの企業で導入され、働き方改革の一環として定着しつつあります。しかし、一部の上司(管理職)は未だにテレワークに対して否定的な姿勢を崩さず、従業員に対してテレワークを許可しないケースも存在します。
そこで今回は、「テレワークをさせない上司」の特徴とその背景にあるもの、さらに効果的な説得方法について詳しく解説します。

テレワークをさせない上司の主な特徴と背景

複数の社員から「テレワークできないか」と相談を受けても、なかなか首を縦に振らない上司がいます。全社的にテレワークを導入しない・廃止する方針であるならまだしも、テレワークの可否が部署やチームの現場責任者の判断に委ねられている場合、「一体なぜなのか?」と上司に詰め寄りたくなることもあるでしょう。

なぜ、あの上司はテレワークをさせてくれないのか―。

上司を説得しようとする前に、まずはテレワークさせてくれない上司の特徴や、その考えに至った背景を深掘りしていきましょう。

不安がある

常に不安を抱いている上司の場合、従業員の働きぶりをリアルタイムで確認できないので不安が一層強くなり、テレワークの導入には抵抗感を示すことが多いでしょう。
テレワークを許可した結果、生産性が下がれば上司の判断ミス・管理不足とみなされ、自分自身への評価にも影響が出ます。

変化への抵抗

新しい働き方への変化は、どの組織においても抵抗感を伴うことがありますが、特に長年同じ方法で業務を行ってきた中高年世代の管理職はこの傾向が顕著です。新しい技術の導入や業務プロセスの見直しが必要となるため、手間がかかること、新しいことを覚えるための労力はなるべくかけたくないという心理が働き、テレワーク導入に反対するケースが見られます。

過去の経験による信頼関係の欠如

過去に部下から信頼関係が崩れるような行動をされた経験がある上司の場合、説得が非常に難しくなります。一度はテレワークを導入したものの、大事な仕事を任せていた部下が進捗報告を怠ったため、納品遅れや失注につながってしまった……といったパターンを想定してみるとわかりやすいでしょう。部下への信頼が大きかった分、その反動は強くなるのです。

オンラインコミュニケーションに否定的、不満がある

テレワークを効果的に行うためには、適切なコミュニケーションが欠かせません。しかし、上司がリモートコミュニケーションの方法を十分に理解していない場合、結局オフィスでの対面コミュニケーションに依存することになります。
また、過去にリモートワークを導入した際にオンラインミーティングがスムーズに行えず、プロジェクトが遅延した経験がある場合なども同様です。

業務効率への懸念

業務効率への懸念も原因です。特に、営業や顧客対応などの業務では直接的なコミュニケーションが重要視される場合があるため、テレワークに対する懸念が強まります。

社内文化の維持

企業文化やチームの一体感の維持も、テレワークに対する抵抗感の一因です。オフィスでの直接的なコミュニケーションやチームビルディング活動は企業文化を醸成する重要な要素です。しかし、リモート環境ではこれらの活動が制限されるため、社内文化やチームの一体感の維持に不安を感じる上司は少なくありません。

技術的な不安

テレワークを実現するためには、適切なリモートツールやセキュリティ対策が必要です。しかし、技術に対して不慣れだったり、データ漏洩や情報管理の問題といったセキュリティの懸念があったりする場合はテレワーク導入に消極的になります。

テレワークさせない上司への効果的な説得方法・コツ

テレワークの導入を上司に認めてもらうためには、単に希望を伝えるだけでは不十分であり、テレワークのメリットを伝えながら懸念を払拭する案を提示して説得することが大切です。

まずはテレワークのメリットを上司に伝える

テレワークを認めてもらうためには、まず、テレワークを導入するメリットを上司に理解してもらうことが重要です。具体的には次のようなメリットを伝えましょう。

・生産性の向上
テレワークを導入した結果、生産性が向上した事例を紹介しましょう
。たとえば、あるIT企業ではテレワークを導入したことで従業員の集中力が増し、プロジェクトの進行がスムーズになったといいます。このような内容が掲載されているホームページやプレスリリース、メディア報道を提示することで、説得力が増します。

具体例:スタートアップ企業の〇〇社では、テレワーク導入後、プロジェクトの完了時間が平均15%短縮。従業員は通勤時間を削減し、その分を業務に充てることができたため、結果的に生産性が向上しました。

・従業員満足度の向上
テレワークはワークライフバランスの改善につながり、従業員満足度の向上にも寄与します
。実際に、ある製造業の企業では、テレワークを導入した結果、従業員の離職率が低下し、長期的な雇用維持に成功しました。従業員の満足度が高まることで、業務効率も自然と向上します。
先の紹介した例と同じく、他社のプレスリリースやメディア報道があれば、それも提示しましょう。

具体例:大手製造業の〇〇社ではテレワークを導入した従業員の満足度が20%向上し、離職率が10%低下しました。従業員が柔軟な働き方を選択できることで、モチベーションが向上し、業務に対する意欲も高まりました。

・コスト削減
テレワークはオフィス運営費や通勤費の削減にもつながります
。あるスタートアップ企業では、オフィススペースの縮小により年間でかなりの額のコスト削減を実現しました。このような具体的なコスト削減効果を示すことで、上司の理解を得ることができます。

具体例:人材サービス業の〇〇社はフリーアドレス制度を取り入れつつ在宅勤務を推進することで、オフィス運営費を大幅に削減しました。オフィススペースの効率的な活用に成功しただけでなく、従業員の残業時間も50%にまで減少させることができました。

・環境への配慮
テレワークは通勤によるCO2排出の削減など、環境への配慮にも寄与します
。環境意識が高まる現代において、企業の社会的責任(CSR)の観点からもテレワークの導入は有益ですから、環境保護に貢献する取り組みとして上司にアピールすることも効果的でしょう。

具体例:環境に配慮する企業の〇〇社では、テレワーク導入により年間で10万キロメートル分のCO2排出を削減しました。この成果は、企業のCSR活動として広く社内外に報告され、企業イメージの向上にも寄与しました。

上司への説得のコツ

・データと事実を用いる
テレワークの効果を示す統計データや成功事例を用いて、客観的な視点からテレワークの利点を説明しましょう
。テレワークを導入した企業の生産性向上率や従業員満足度の変化を具体的に示すことで説得力が増します。

・試験的導入を提案する
いきなり全面的なテレワーク導入を求めるのではなく、小規模なプロジェクトや特定の部署やチーム、業務で一定期間だけ試験的にテレワークを導入する提案を行いましょう。実際の効果を確認しながら徐々に拡大していくアプローチは、上司の不安を和らげる効果があります。

・透明性を確保するためのコミュニケーション、テレワークツールの導入提案
業務の透明性を高めつつ信頼関係を強化するため、オンラインミーティングやチャットツールを活用して上司とのコミュニケーションを頻繁に行うことを提案しましょう。仕組みや使い方が複雑なツールは避け、ITが苦手な人でも使いやすいツールを選ぶことが大切です
また、テレワーク下でも業務内容や勤怠状況、働きぶりが明確になるよう、勤怠管理や業務可視化ツールの導入も検討しましょう

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テレワークをさせないことはパワハラになる?

一部で「これだけお願いしているのに、テレワークさせないことは一種のパワハラになるのでは?」との声がありますが、一般的に、会社が従業員のテレワーク希望を拒否することはパワハラに該当しないとされています。
パワハラは、厚生労働省によって「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、職場環境を害し、働く人の尊厳を傷つける行為」と定義されていますが、テレワークの希望を拒否する行為自体が「パワハラ」に直結するわけではないからです。
ただし、次のような状況の場合にはパワハラに該当する可能性があります。

合理性のない拒否

従業員に対して合理的な理由なくテレワークを拒否し、結果的に相当強い心理的圧力を与えた場合。

職場環境に対する著しい不利益

拒否することにより、従業員が著しく不利益を被り、心理的な負担を受けると判断される場合。

他の従業員との差別的対応

特定の従業員のみをテレワーク不可とするなどの不公平な対応を行い、これが差別的・圧力的と判断される場合。

通常、企業側がテレワークを拒否する場合には、業務上の必要性や生産性の観点から合理的な説明が求められます。
また、企業によっては「テレワーク規定」を設け、その規程に基づいて運用している場合もあります。このような場合、拒否が適切な手続きや理由に基づいているのであれば、パワハラには該当しません。

まとめ

拒否や抵抗感の裏には必ず理由があります。まずは上司との対話を通して不安要素を把握し、どうしたらその不安を払拭できるのかを協議しましょう。具体的なメリットや成功事例を必ず提示するのはもちろん、過去にテレワークで失敗した経験がある場合は同じ失敗を繰り返さないための案も考えましょう。
従業員側は主張や批判だけではなく、「どうしたらテレワークの課題を解決できるか」という態度・視点で提案することが大切です。

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RemoLabo
Remotework labo編集部
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