テレワーク 健康被害

2021. 5. 11 働き方

【テレワーク導入で増えた健康被害】個人と企業それぞれの対策を紹介。

テレワーク導入で生産性をより高めて仕事ができると思われたが、実はそれに伴う健康被害も増加してしまった。今後も重要な働き方となるテレワークの健康被害を少しでも軽減させるために個人と企業それぞれにできる対策を紹介!

新型コロナウイルス感染拡大の影響で導入が急速に進んだテレワーク。在宅勤務形式が多く採用され、通勤の必要がなくなりました。従業員の暮らしに合わせた働き方ができることから、生産性の向上が見込めると期待されていました。

しかし、テレワークが長期化するにつれて、心身の健康問題を引き起こすことが分かってきたのです。心身の健康問題は生産性や集中力の低下、疾病につながるので、個人または企業としても適切な対策が必要です。

本記事では、テレワークで起こる健康被害の例や原因、個人または企業としてどう対策していくかをまとめています。ぜひ参考にしていただけると幸いです。

テレワークによって健康被害が増加する?

テレワークによる健康被害が増加
2020年4月7日、東京をはじめとする7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した影響により、都内ではテレワークの導入が急速に進みました。

厚生労働省「テレワーク導入率調査」によると、2020年4月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は62.7 %となっており、前の月の3月 (導入率:24.0 %) と比較して大きく増加していることが分かります。

2020年4月16日には緊急事態宣言の対象が全国に拡大したことで、テレワークの導入は全国的に普及していきました。
これを受けて、2020年4月23日にオムロンヘルスケア株式会社が、20代から50代のテレワークをしている男女1,000人を対象に「テレワークとなった働き世代へ緊急アンケート」の調査結果を発表しました。

こちらではテレワークにおける不調やその種類、不調の度合い等の調査結果についてまとめられています。

テレワーク健康被害の調査結果

https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2020/0428.html


この調査によって、約3割の人が不調を訴えていることが分かりました。主な不調は「肩こり」「精神的なストレス」「腰痛」「姿勢が悪くなる」「目の疲れ」となっており、これら5つの不調はいずれも50 %以上の人が抱えているようです。

テレワークが普及し始めた時点で約3割の人が健康被害を訴えており、テレワークが当たり前となった現在ではさらに多くの人が健康被害を抱えていることが懸念されています。

なぜ健康リスクが増加するのか?

テレワークの健康被害が増える原因
生産性や集中力の低下、疾病につながる心身の健康問題。なぜテレワークでそのリスクが増加するのでしょうか。本項では健康被害の対策に入る前に、その原因について見ていこうと思います。

1.パソコン作業に適していないデスク
2.長時間のパソコン作業
3.テレワークによる新たな精神的ストレス
4.対策不足や対策の遅れ

適切な対策を行うために、まずは上記を参考にしてテレワークで健康リスクが増加する原因を知りましょう。

パソコン作業に適していないデスク

前項で挙げたテレワークにおける主な不調「肩こり」「腰痛」「姿勢が悪くなる」の原因は、パソコン作業を行っているデスクにあります。

多くの人は自宅に作業用デスクがなく、代わりにダイニングテーブルやローテーブルを使っているのではないでしょうか。

これらのテーブルでは、机と椅子の高さが適切でないことが多く、パソコン作業時に自然と姿勢の悪い状態になることで「猫背」や「ストレートネック」を引き起こす可能性があります。

長時間のパソコン作業

「目の疲れ」は、長時間のパソコン作業が原因です。

テレワークでは仕事が限られるため、オフィス勤務時よりもパソコン作業が多くなります。さらには、会議や仕事のやり取りもオンラインと目を酷使する状況になりやすいです。

また、長時間のパソコン作業は目が乾燥しやすく、「ドライアイ」にも注意が必要です。

テレワークによる新たな精神的ストレス

テレワークでは、仕事環境の変化によって新たな「精神的ストレス」が生じることがあります。

本項ではその「精神的ストレス」の原因について解説していきますが、「精神的ストレス」は人によって感じる対象やその大小が異なります。

したがって、2020年9月20日に発表された株式会社月刊総務の「メンタルヘルスケアに関する調査」の結果を参考に、テレワークでよくある「精神的ストレス」の3つの原因についてここでは扱っていきます。

1.コミュニケーション不足
2.仕事とプライベートの切り替え
3.運動不足

株式会社月刊総務の調査では、テレワークによるストレスの増減やその種類、メンタルヘルスケア等の調査結果がまとめられています。

コミュニケーション不足

テレワークにおける「精神的ストレス」の最も大きな原因と考えられているのは、コミュニケーション不足です。

株式会社月刊総務の調査でも、従業員のメンタル不調の原因に「テレワークによるコミュニケーション不足・孤独感」が挙げられており、その割合は60.0 %と最も多い数字となっています。

テレワークでは対面で話ができないことから、相談や報告が以前にも増してしにくい、相談や報告に時間がかかるといったデメリットがあり、上司や同僚とのコミュニケーション不足に陥りやすくなります。

上司からしても部下の仕事の進捗や勤務の管理、メンタルヘルスケアが難しくなるといったケースが報告されています。

仕事とプライベートの切り替え

テレワークでは、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。

通勤していた頃のようにオフィスでは仕事・自宅はプライベートと、空間による仕事とプライベートの切り替えができなくなるためです。

仕事中に家族から声をかけられる、家族や外の音が気になる、プライベートの時間に会社から電話がかかってくる等のケースがよく見られ、仕事に身が入らないまたは仕事の緊張感がなかなか抜けないということが起きるようです。

運動不足

テレワークでは通勤の必要がなく、自宅に籠って仕事をすることになるため、運動不足に陥りやすくなります。

運動不足によって精神的ストレスを感じやすくなると言われているため注意が必要です。

さらに運動不足に陥ると、心拍数や呼吸回数が低下し、血液が体内を循環しにくくなるため、「肩こり」「頭痛」「冷え性」の原因にもなります。また、血中の酸素が脳に供給されにくくなり、思考力や集中力の低下といったことも起こります。

自宅に籠る状態で閉塞感や孤独感を感じるケースも報告されており、精神的ストレスを感じてしまうようです。

対策不足や対策の遅れ

オムロンヘルスケア株式会社の調査では、体の不調への対策を行っている人は全体で約6割となっています。普段とは異なる仕事環境での健康リスクの予防意識は十分に高いとは言い切れません

また、不調の度合いの調査では、4人に1人にあたる約27 %の人が「重度」と回答しています。「肩こり」や「精神的なストレス」は「重度」と回答している人が約4割と対策の遅れが否めません。

株式会社月刊総務の調査でも、約3割の企業が従業員のメンタルケア施策を実施しておらず、約7割の企業が管理職のラインケア研修を実施していないという結果となっています。テレワークにおける従業員のメンタルヘルスケアは難しいとされている一方で、その意識はまだまだ低いようです。

(※ラインケア:職場のメンタルヘルス対策において、各部署の管理職を含む事業管理者が、部下のメンタルヘルスケアや職場環境の改善を行う取り組み)

健康被害を防ぐ個人または企業としての対策

テレワークにおける健康被害の原因を知ったところで、本項ではテレワークにおける健康被害の対策について解説していきます。

1.作業デスクの整備
2.ストレッチや軽い運動
3.メンタルヘルスのセルフケアとラインケア
4.専門医への相談

前項に記載した通り、健康被害が重度になるケースも報告されており、疾病を引き起こす可能性があります。これらは仕事の生産性や集中力にも大きな影響を及ぼすので早めに対策をしましょう。

作業デスク周りの環境整備

作業部屋の確保や作業用の机と椅子の整備を行うのが理想です。

作業部屋の確保によって、仕事とプライベートの空間を分けることができ、オンとオフの切り替えがしやすくなります。また、高さの適した作業用の机と椅子は、「肩こり」「腰痛」「姿勢が悪くなる」といった健康被害に効果があります。

しかし、コストの面から個人または企業として作業デスク周りの環境整備が難しい場合があります。そういった場合は、ちょっとした工夫が必要です。

まず、作業デスク周りを整理整頓し、仕事に必要のないものは視界の中に置かないようにしましょう。さらに、壁を向いて作業をすることで、仕事以外の視覚的情報に気を取られにくい状況を作ることができます。

耳栓やイヤホン等を用いれば、家族や外の音に気を取られるといった状況を防ぐことができます。

また、机や椅子、パソコンの高さはクッションやパソコン台等でも調整可能です。

「目の疲れ」「ドライアイ」には、目薬やブルーライトカットの眼鏡を用意すると良いです。

コストや自分の体型にあった方法を選択して対策しましょう。

軽い運動

軽い運動をする
ストレッチやエクササイズ、散歩は運動不足の解消には最適です。さらに、血行が促進されるため、「肩こり」「頭痛」「冷え性」にも効果があります。

特に、ストレッチは仕事の合間の短い時間でも簡単に行うことができます。お風呂上りは血行が良くなっており、とても効果的なのでおすすめです。

また、こういった軽い運動による血行促進によって、座っているときよりも血中の酸素がより多く脳に供給されるため、集中力や思考力が向上するといったメリットもあります。

企業によっては、上司や同僚とエクササイズや筋力トレーニングをオンラインで行っているそうなので取り入れてみるのも良いでしょう。

自宅に籠りがちなテレワークは、精神衛生上良くないので、意識的に運動するようにしましょう。

メンタルヘルスのセルフケアとラインケア

メンタルヘルスケアについては、労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく指針として、平成18年3月、厚生労働省が新たに「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定しました(平成27年11月改正)。

厚生労働省としても、近年増加している労働者のストレスや精神障害等に係る労災補償状況に懸念を示しており、積極的に労働者のメンタルヘルスの保持増進を図るよう指針を示してくれています。

ここでは、4つの指針のうちの2つ「セルフケア」と「ラインケア」に重点を置き、メンタルヘルスケアの対策について解説いたします。

1.オンラインでの連絡ツールの整備と活用
2.ストレスチェック
3.定期面談

オンラインでの連絡ツールの整備と活用

テレワークではコミュニケーション不足に陥りやすくなります。相手の姿や状況を確認できないことから、いつ連絡したら良いのか、連絡したら迷惑でないか等で遠慮しがちです。

仕事の進捗や勤怠管理にも悪影響なので、オンラインでの連絡ツールの整備をしてコミュニケーション不足の対策をしましょう。ファイル共有ツールを利用すれば、メールボックスを圧迫せずに記録を残せます。バックアップとしても利用でき、お互いの進捗を確認しやすくなります。

この場合、細かい区切りで進捗をまとめておくことがポイントです。

労働者の心の健康の保持増進のための指針」にも記載されているように、職場環境の改善は職場の管理監督者が労働者に対して行う「ラインケア」の一環です。

ストレスチェック

2014年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部改正により、2015年12月1日から従業員50人以上の事業所についてストレスチェックと面接指導の実施等が義務化されています。

従業員50人以上の事業場については努力義務ですが、近年増加している労働者のストレスや精神障害等に係る労災補償状況を見ると、ストレスチェックと面接指導等は導入するべきでしょう。

ストレスチェック制度に関しては、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」を参照しましょう。 

厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として、従業員50人以上の事業場については、「ストレスチェック実施促進のための助成金」を利用できる場合があるのでご参照ください。

定期面談

定期的な面談
コミュニケーション不足やメンタルヘルスケアの一環として定期面談はお勧めです。

個人でも積極的に行うのが理想的ですが、部下から申し出るのは恐れ多い場合があります。コミュニケーションに消極的な人のことも考慮すると、会社として定期面談の仕組みを設けると良いです。

定期面談では、部下の体調の変化や個人情報の取り扱いに注意しましょう。

定期面談を行う管理者はラインケアの適切な知識が必要なので、管理職のラインケア研修を行うのが理想的です。

専門医への相談

自分の体調に少しでも異変を感じたら、迷わず専門医へ相談しましょう。

自分の状態や不調の原因、不調に対する適切で具体的な対策を示してくれます。

健康被害が重度になったり、疾病を引き起こす可能性があるので早めに対策しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、テレワークで起こる健康被害の例や原因、個人または企業としてどう対策していくかについて解説しました。

テレワークでは、オフィス勤務時には感じないであろう身体的または精神的ストレスがあります。個人の心身の健康管理のために、従業員や管理者、会社として主体的に対策を講じましょう。