「ワークシェアリング」と言う言葉をご存じでしょうか。
ワークシェアリングとは、仕事を分け合い複数人で取り組むことで、従業員一人当たりの負担を減らし新たな雇用を生み出すこと言う考えのことです。
今回はワークシェアリングについてメリット・デメリットを含めて解説していきます。
ワークシェアリングとは
社会全体の従業員を増やすことで、ひとりひとりに掛かる負担を減らし生産性や効率性の向上を目指すという考えです。
近年問題視されている長時間労働を解消することにより、女性や高齢者、失業者の雇用機会を増やす事に繋がり、働き手不足の解消も期待されています。
日本より先にワークシェアリングを導入しているオランダでは、約20年弱で14%だった失業率を2.4%まで回復させたという成功例もあり、日本でもワークシェアリングを導入する企業が増えつつあります。
4種類のワークシェアリング
日本で厚生労働省が発表しているワークシェアリングの類型は、下記の4種類です。
雇用維持型(緊急避難型)
一時的な景況の悪化を乗り越えるため、従業員をリストラしない緊急避難措置として、従業員1人あたりの休暇の増加や所定内労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持するための方法です。
ただし、給与を減らさなければいけないことが多いため労働者と経営者の合意が必要になります。
雇用維持型(中高年対応型)
中高年層の雇用を確保するために、中高年層の従業員を対象に、当該従業員1人あたりの休暇の増加や所定内労働時間を短縮し、社内でより多くの雇用を維持する方法です。
高齢化が進む日本では、定年退職後の高齢の従業員を再雇用することで人手不足の解消にも繋がります。
雇用創出型
失業者に新たな就業機会を提供することを目的として、国または企業単位で労働時間を短縮し、より多くの労働者に雇用機会を与える方法です。
フルタイムの従業員を雇用するというよりは、パートタイムや短時間労働者を複数雇用することで業務を分担する事が多いとされています。
多様就業対応型
正社員について、リモートワークやフレックスタイム、パートタイム勤務を導入するなど勤務の仕方を多様化し、女性や高齢者をはじめとして、より多くの労働者に雇用機会を与える方法です。
育児や介護でフルタイムでの勤務が難しい層の雇用を維持することができます。
ワークシェアリングのメリット
では、ワークシェアリングを導入することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
1. 長時間労働の改善
前述の通り、ワークシェアリングは長時間労働を減らし雇用を創出する為の施策です。
今まで1人で行っていた作業を分担することで、ひとり当たりの作業量は減り長時間労働を解消することができます。
また長時間労働が解消されることで、離職率の高かった職場の定着率が高まり技術喪失を防ぐメリットもあります。
2. 生産性の向上
労働時間短縮により集中力やモチベーションが向上し、生産性が高まると言われています。
長い時間仕事をするのではなく、適度に休暇を挟みながら短時間で集中して仕事をする方が業務の効率が良くなります。
一人ひとりの生産性が上がることで、企業全体の生産性が向上し、双方により良い関係性を築くことができるでしょう。
3. 従業員満足度の向上
残業時間や労働時間が短くなることで、家族との時間や趣味に費やす時間を今まで以上に確保できるため、健康を維持することができ、心身ともにリフレッシュすることができます。
プライベートが充実し、クオリティオブライフ、ライフワークバランスの向上にも繋がるでしょう。
ワークシェアリングのデメリット
前述まででワークシェアリングは企業と従業員の双方にメリットがあることがわかりました。
しかし、ワークシェアリングの導入はメリットばかりではなく、どうしてもデメリットも出てきてしまいます。
ここからは反対に、ワークシェアリング導入によって生じてしまうデメリットについて見ていきましょう。
1. 新たなコストが発生する可能性がある
まず第一に挙げられるのが人件費の増加です。
ワークシェアリングの為に新たに従業員を雇うことでコストが掛かる事は考慮しなければなりません。
コストと照らし合わせ最適な規模で導入する必要があるでしょう
2. 生産性が低下する可能性がある
また、ワークシェアリングが必ずしも生産性を向上させるとは限らず、逆に生産性が低下してしまう場合があるので注意が必要です。
新たな従業員が増えることで研修や引継ぎ事項の共有で、仕事量が増加する可能性もあります。
更に業務の引継ぎがうまく行かず、生産性が低下してしまうといリスクも考えられます。
まとめ
ワークシェアリングの導入に伴いデメリットはあるものの、導入前に業務連携のルールや決め事をすることで対策をすることが可能です。
デメリットとなる点を克服してワークシェアリングを導入すれば、従業員も企業も大きなメリットを得ることができます。
メリット・デメリット共にしっかりと理解した上で、導入に踏み切ることをお勧めします。